女々しくてつらい

リアルで吐き出しにくいこと

忘れられない『告白』をされた日

はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」

 

「あと1時間くらいで電車着くんだけど、この後会える?ご飯食べに行きたい」
20代なかば、初めての彼女、付き合うことになった翌日、受信したLINEのメッセージに私はテンションが上がった。
「いいよ、行こう~!何か食べたいものある?」
そう返事をして外出する支度を始めた。

 

彼女は地元の高校の同級生だった。高校生の当時は数回話したことがある程度の関係性。社会人になってからの同級会で、お互い近くに住んでいることが分かった。地元から少し離れた地に知り合いがいることが嬉しかったのか、彼女の提案で約束を取り付け、後日2度遊びに行った。

2度目のデート後、告白しようとするも言葉にできず、結局その翌日にLINEで告白して付き合うことになった。(20代なかばにもなってこんな告白の仕方になる"チキン野郎"であることは重々承知しています。)告白が成功した日、彼女は片道2時間ほどかけ、電車に乗って目的地へ向かっていた。大学の女友達複数人で遊びに行く約束をしていたようで、そのことは2度目に遊んだ時にも話を聞いていた。昼頃電車で出発し、夕方ぶらりとウインドウショッピングをしてから先輩の家で一泊、そして翌日女友達と女子会ランチをするとのことだった。

彼女は電車で旅行先へ向かっている時に、共通の知り合いである高校の同級生1人に私と付き合うことになった報告をしていたようで、私に祝福の連絡がきた。気恥ずかしさもあったが、彼女ができたことへの実感が湧き、ただただ嬉しく思った。

ここまでの時系列としてはこうだ(月曜祝日の3連休)。
土曜日:私と彼女での2度目のデート
日曜日:私から告白し付き合うことに・彼女が旅行先へ出発
月曜日:彼女が一泊、女子会後、帰宅途中の電車から冒頭のメッセージを送信→夕飯へ


告白がLINEだったために、付き合い始めてから顔を合わせるのは初めてになる。
どんな顔をして会えば良いか多少戸惑いつつも、それはもうウッキウキな気持ちで準備をしながら連絡をとっていた。待ち合わせをし、一緒に夕飯を食べた後、「話したいことがある」とのことで、家に誘われた。お茶を出してもらって一息ついた後、彼女は「話したいこと」を切り出した。

「あのね、今回の旅行で先輩の家に泊まるって言ったけど、実は同じサークルだった男の先輩の家なの。」
付き合う前に立てた計画だし、この件についてはそれほど責める気にならなかった。(正直なところ当日とは言え、付き合うことになった以上は予定変更してビジホにでも泊まって欲しかったが。)この程度の話であれば全然良かったが、「話したいこと」の本題はこれでは無かった。私は続けて打ち明けられた『告白』を、今後一生忘れることは無い。
「でね、その先輩に、手を出された・・・。」
「婚約してるって聞いてたし、そういう人じゃ無いと思ってたから安心してた。」
「(私には)彼氏がいる、って言ったんだけど、(先輩は)言わなければわからないよ、って・・・。」
意味がわからなかった。なぜわざわざ私にそれを伝えたかったのか、本気で理解できなかった。もしかしたら"手を出す"という表現にも私が想像しているものとは違う意味が込められているのかもしれない、確認する必要があった。

 キスされた・・・?
 →コクリ(頷き)
 触られた・・・?
 →コクリ(頷き)
 その先は・・・?
 →フルフル(左右に首を振る)

さすがに最後の返事は信じられなかった。まともに恋愛経験が無かろうと、女の子の言うことであればなんでも信じてしまうほど私はピュアではない。

 今からでも警察に相談する?付き添うけど。
 →フルフル(左右に首を振る)

まあ、これは、"黒"でしょう、と思った。どうすべきか分からなかったので、なんとなく、ドラマならこうするのかな、と抱きしめてみた。そのまましばらく時間が経ったが、相変わらず彼女はすすり泣くような振る舞いをしていた。しかし涙が頬を伝うわけでもなく、本当のことを言ってくれたのかもわからない彼女に対し、なおさら次に自分が何をどうしたらいいかわからなくなった。
「話してくれてありがとう。」
全く本心では無かったが、そんなことしか言えなかった、そんなことを言うしかなった。そのままどのくらい時間が経ったかは覚えていない。
「もう大丈夫、ありがとう。」
何がどう大丈夫なのかわからないが、彼女はそう言った。
「後々発覚した時に、もめるのを避けたかったから・・・。」
とも言った。今後どうするべきかは一旦置いておいて、ただただ帰りたかった。
「とりあえず今日は、帰るね。」

玄関口で見送られ、もう一度自分でもよくわからないまま話してくれたことへのお礼を告げて帰った。

それから数日間は、婚約しているのに後輩に手を出す男に対して腹が立ったし、住所を割り出して乗り込んでやりたいとか、実際のところどういう流れだったのか聞きだしたいとか、婚約相手の連絡先でも探ってチクってやりたいとかいう気持ちでいっぱいだった。精神的に不安定にもなったし、わざわざ打ち明けた彼女に対しても怒りを覚えた。告白をOKしたことに後悔して、私から別れを切り出すことを期待しての嘘だったのではないか、とも考えた。しかし、彼女から共通の知り合いに報告していたという事実もあり、本当に真意がわからなかった。彼女との面識は無い友達にこの話をすることで、なんとか気持ちを落ち着かせて過ごした。最終的には幸いにも時間の流れが解決してくれた。

 

結局、この彼女とは3年付き合った。
ちょっと前にフラれて別れた。

 



文学大賞が8/9までの開催なのは承知の上で、ずっと書きたいと思っていたことがお題そのものだったので書いてしまいました。おそらく本人の目につけばわかってしまうと思います。でも、それでも良いです。

 

彼女はどういう考えでわざわざ私に伝えたのでしょうか。

・言葉通り、後々もめるのを避けたかった?(その時もめるという考えは無いのか?)
・許してもらうことでスッキリしておきたかった?
・どういった反応をする人間なのか探った?
・今後浮気しても許すような人間か知っておきたかった?

 

私個人の推測としては、
・その先輩には好意があり、なんなら"手を出される"ことにも期待して泊めてもらう約束をしていた
・婚約相手がいることは知らなかった
・思い通りに事が進み、今後も機会があればお泊りを期待していた
・女子会で婚約していることを知り、先輩に対して失望した
・失恋の思いもあり、慰められたくて打ち明けた
・後々もめたくなかったのは本当
・自分一人で抱え続けたくなかった
・打ち明けたことで別れることになってもそれはそれで良かった
といったところではないかと思っています。

 

長文・駄文で本当に申し訳ないのですが、目を通していただいた方がいらっしゃればぜひ何かしらのご意見を伺いたいです。今後の人生の参考とさせていただきます。特に女性目線での推測をいただけるととてもありがたいです。